

今回はPIVOTさんのYoutube「【新NISA丸わかり】プロ厳選の3商品はコレだ」のコメント(※2024年4月現在)を、”STP分析風”のフレームワークを使って分析しました。
分析を進めていくと、投資商品の販売者へのポジショントークへの警戒心や判断の際の自立性など、投資判断を行う際の様々な基準が見えてきました。
今回は「投資判断を行う際のメンタルや考え方の基準」をもとに、投資商品販売者側になりきって、各ユーザーへどのように商品を勧めていけばよいのかを考えていきます。
最後まで見ていただけたら幸いです。
今回の分析テーマは「情報を信じる基準と投資判断」について
今回の分析は動画へコメントをしているユーザーの特性を分析した過程で出てきた「投資判断を行う際のメンタルや考え方の基準」をもとに、投資商品販売者側になりきって、各ユーザーへどのように商品を勧めていけばよいのか、どのようにアプローチすればよいのかのアイデアを作成することを目的とします。
分析の方法



AIにコメントデータを読み込ませながら、STP分析風の要素を使って、分析をしていきます。ざっくりですが分析方法は以下です。
- コメントしているユーザーの全体的な特性を分析
- コメントしているユーザーの特性などから独自のX軸とY軸を設定
- X軸とY軸をもとにユーザーを4分割のカテゴリで分類
- 各カテゴリの特徴を分析
- 各カテゴリに対して、どのようなアプローチを実施すれば、目的を達成できるかを作成
実際のSTP分析とはかけ離れている部分がありますが、要素を拝借し、ターゲットごとにどのようなアプローチを実施していけば良いのか分析していきます。
分析する動画の概要
今回、分析させていただく動画の内容を簡単に要約します。
まだ視聴していない方は是非、もとの動画も視聴してみてください。
- 📈 S&P500と個別株の組み合わせ
S&P500のインデックスファンドと個別株(例: Apple, Tesla)を組み合わせることについて説明しています。
この組み合わせは、特定の企業への投資比率を調整しつつ、アメリカ市場全体への分散を意図しています。 - 🌐 全世界株式との比較
全世界株式との比較を通じて、SP500や全米株式インデックスとの類似点を指摘しています。
同じような市場をカバーしているため、重複投資が発生する可能性があります。 - 🤔 投資戦略の考慮:
投資の目的に応じて、SP500や特定の企業株に投資するかどうかを検討する必要があります。
分散投資の効果が低下する可能性があるため、ポートフォリオのバランスを考えることが重要です。 - 🍱 お弁当の例え
投資をお弁当に例え、似ている投資商品を重複して持つことの無効性を説明しています。
シンプルな投資戦略が管理しやすく、効果的であることを強調しています。
コメントユーザーは情報の内容だけではなく”誰が言ったのか”を重視し投資判断の参考にしている





コメントしているユーザー全体としてどのような特徴があるかをAIを使って分析した結果、コメントユーザーの多くは「情報の内容だけではなく”誰が言ったのか”を重視し投資判断の参考にしている」ことがわかりました。
詳細を見ていきましょう。
自立した投資判断への意欲
- 自分自身で投資について学び、独立した判断を下すことに価値を見出しているユーザーが多いようです。これは、コメントから見て取れる「自分なりに勉強することの重要さ」に対する言及にも表れています。
批判的思考の傾向
- 投資関連の情報、特に手数料が高い商品やポジショントークに警戒心を持ち、批判的に受け止める意見が多く見られます。これは、投資判断を下す際に表面的な情報だけでなく、背後にある動機や利害関係を考慮していることを示しています。
投資経験の多様性
- コメントをしているユーザーの中には、初心者から上級者まで、投資経験のレベルが幅広いことが伺えます。これは、質問の種類や投資に関する懸念の内容から明らかであり、初心者向けの情報から専門的な知識を求める声まで多岐にわたっています。
- コメントユーザーは全体として、情報へのアクセスが容易でありながらも、その情報を批判的に評価し、自立した投資判断を重んじる意識が高い。
- 批判的思考の傾向から”どのような立場の人”が、その発言をしているかについても考察している。
続いて、これらのユーザーをさらに分類してみます。
カテゴリ分類のためのX軸は「ポジショントークに対する警戒心」Y軸は「投資判断の自立度」
STP分析のように、まずはX軸とY軸を決めて、それをもとにセグメンテーションしてみます。
セグメンテーション作成時の手順は下記になります。
- コメントの内容やトーンからユーザーの特性を読み取る
- それをX軸とY軸に落とし込んでみる
今回の分析では、
情報・発信者に対して批判的に評価し、投資判断に加えるユーザーも多いことから、コメントから抽出できる2つの重要な属性として
X軸を「ポジショントークに対する警戒心」
Y軸を「投資判断の自立度(他者意見の影響度)」
と定めて分析を進めていくことにしました。



これらのX軸とY軸を図にするとこのような感じになります。


X軸:ポジショントークに対する警戒心
- 投資情報や提案に対して懐疑的で、情報の出所や背後にある意図を常に疑います。
- 広告や販促活動に流されることなく、事実やデータに基づいた判断を重視します。
- 自身で情報を検証することを好みます。
- 提供される情報や推奨に容易に影響を受けることが多いです。
- マーケティングや広告による影響を受けやすく、魅力的なプレゼンテーションに引き込まれがちです。
- 背後にある動機やバイアスを深く考慮することなく情報を受け入れることがあります。
Y軸:投資判断の自立度
- 自分自身の研究と分析に基づいて投資判断を下します。
- 他者の意見や市場のトレンドに左右されにくいです。
- 独立して情報を収集し、自身で詳細なリスク評価を行う能力を持っています。
- 投資決定において他者の意見や勧めに大きく依存します。
- 専門家の推奨や一般的な市場のセンチメントに強く影響を受けることが多いです。
- 自己のリサーチよりも、周囲の意見やメディアの報道に基づいて行動することがあります。
カテゴリ分類は「ポジショントークに対する警戒心」×「投資判断の自立度」での組み合わせ
では次に、これらX軸とY軸に基づいて、4つのカテゴリにセグメンテーションしてみます。
セグメンテーション後に各カテゴリの特徴と、どのくらいの割合で存在するかをざっくりと出してもらった結果がこちらです。





それでは、ひとつひとつのカテゴリを見ていきましょう。
1、独立的批判家





このファンドの運用戦略と実績をじっくり評価する必要がある。表面的な数字に騙されてはいけない。
- 深い金融知識と自己リサーチに基づく意思決定をするためポジショントークやマーケティングに流されない
- 批判的に情報を分析し、表面的なデータや一般的な推奨に飛びつかない
- 深い分析を通じて自己の投資判断を下す
2、自信家な実践者





リスクを恐れずに大胆な投資をすることが、大きなリターンを得る唯一の方法だ。自分の直感を信じる。
- 自分自身の判断に自信を持っており、他人の影響や市場のノイズに左右されずに、独立して投資決定を行う
- 新しい情報や異なる視点を柔軟に取り入れることはできるが、それによって独自の投資戦略や意思決定が曇ることは少ない
- リスクを取ることを恐れず、自らの経験や直感を信じる傾向にあります。
3、慎重な探求者





この投資は興味深いけれど、専門家の意見をもっと聞いてからでないと、決められないな。
- 情報の正確さには警戒心を持つが、投資判断を下す前に多くの情報や専門家の意見を求める慎重なアプローチを取る傾向がある
- 自分自身の分析や判断に完全な自信を持てないため、他者の助言を重視します。
4、トレンド感応フォロワー





最近、みんながこの投資を推しているし、私も投資してみようかな。
- 金融知識が基礎的なレベルであり、リスクへの理解が浅い場合が見受けられます。
- 他者の意見や市場のトレンドに強く影響を受けやすい
- 自己の分析よりも人気や一般的な意見に従いやすい傾向がある



「ポジショントークへの警戒心」と「投資判断への自立性」で軸分けをしました。
今回は投資に関する情報への向き合い方という軸で分析していますが、そもそも、今回の対象動画を見て、コメントしているということで、既に投資をしていたり、投資に対して一定の興味があるという前提は留意しておきたいですね。
では次にカテゴリごとのアプローチを考えていきましょう。
最優先で販売アプローチすべきは「トレンド感応フォロワー」
セグメンテーションが完了したところで、次に各カテゴリごとにどのようなアプローチをすれば投資商品を販売することができるのかを考えていきます。
その前にどのカテゴリから優先的に販売アプローチをすればよいのかを分析していきます。
AIを使った分析を行ったところ優先順位は以下となりました。
警戒心低い×自立度低い
他人の推薦を重視するため、人気商品の実績や一般的な評価を強調することで、購入を決断しやすくなります。
警戒心高い×自立度低い
情報を慎重に吟味するため、信頼できる情報源や専門家からの推奨が彼らの購入決定に強い影響を与えます。
警戒心低い×自立度高い
彼らには投資商品がどのように自分のポートフォリオ戦略に合致するかを示すことが重要です。
警戒心高い×自立度高い
自己の厳しい基準に基づいて投資を行うため、投資商品の具体的なパフォーマンスやデータを提供する必要があります。



投資商品の販売アプローチをするにあたって、一番にアプローチすべきカテゴリは「トレンド感応フォロワー」となります。
最も影響を受けやすいセグメントから順に効率的にアプローチしていくことが優先順位に反映されていると考えられます。
各カテゴリへ投資商品を販売するためのアイデア
最後に各カテゴリに対して、どのようなアプローチをしていけば、投資商品を販売できるのかを優先順位ごとに考えていきます。
各カテゴリに対して、投資商品の販売のアプローチの基本戦略を考えたあとに、その戦略に沿ったアプローチ案を3つずつ作成していきます。
トレンド感応フォロワーには「社会的に支持されているわかりやすい成功例」を届ける


トレンド感応フォロワー
警戒心低い
×
自立度低い
- 他の投資家がどれだけその商品に投資しているかを強調し社会的証明を提供することで信頼感を増す。
- 成功している個人投資家や専門家が推薦する声や事例を前面に出す。
- 分かりやすい言葉で商品の利点や特徴を説明し、理解しやすくアクセスしやすい情報提供をする。
- 投資者の総数や成長率を定期的に更新し、これらの商品がどれだけ人気であるかを数値で示します。大衆の参加が多いことを強調することで、安心感を与えます。
- 主要な経済メディアや金融ブログでこれらの商品がどのように取り上げられているかを紹介する記事やビデオを積極的に共有します。
- 金融専門家や有名な投資家が商品を推薦しているビデオやインタビューを制作し、ソーシャルメディアやYouTubeで配信します。
- 実際にこれらの商品で成功した個人投資家のストーリーを紹介するキャンペーンを展開します。リアルな成功例を見ることで、同じ商品への投資意欲が高まります。
- 投資プロセスを説明する簡単なガイドを提供します。手続きの簡略化が投資を決断しやすくします。また、よくある質問を用意し、それに対する簡潔で明瞭な回答を提供します。
- 投資メリットを簡潔に説明するわかりやすい図解を作成し、ソーシャルメディアやウェブサイトで共有します。視覚的に魅力的な情報提供は理解を助け、興味を引きます。
慎重な探求者には「パフォーマンスデータや専門家の推薦・投資に対する自信」を提供


慎重な探求者
警戒心高い
×
自立度低い
- 投資商品の過去のパフォーマンス、市場分析、予測データを提供し、製品の信頼性と有効性を具体的に示し、詳細な情報とデータを提供します。
- 信頼される専門家やアナリストからの推薦や評価を前面に出し、その商品がなぜ良い選択肢であるのかを説明します。
- 投資に関する教育ワークショップやセミナーを提供し、投資知識の向上と自信の構築を促します。
- パフォーマンスデータと分析レポートを作成し、これらの商品がどのように市場の変動に対応してきたかを示します。
- リスク要因を詳細に分析し、これらのリスクが投資成績にどのように影響を与える可能性があるかを文書化します。
- 金融専門家や経済学者が商品をどのように評価しているかのビデオを作成し、それをウェブサイトやソーシャルメディアで公開します。
- 投資商品に関連する専門的な書籍や記事を紹介し、その中で推薦されている投資商品の情報を強調します。
- 投資基礎知識から上級知識まで幅広い教育コンテンツを提供するオンラインプラットフォームを設け、商品への投資方法についてのコースを提供します。学習を通じて自信を持って投資判断を下すことを支援します。
自信満々の実践者には「革新的な投資戦略と商品のカスタマイズ性」を訴求する


自信満々の実践者
警戒心低い
×
自立度高い
- 商品がどのように市場でリーダーシップを取っているか、革新的な投資戦略をどのように採用しているかを強調します。
- 彼らが独自の投資戦略を構築できるよう、商品の柔軟性やカスタマイズ可能性をアピールします。
- 技術的な分析や専門的な市場の洞察を提供し、彼らの高度な知識と経験に訴えます。
- 商品内で、個々の投資スタイルや目的に合わせたカスタマイズが可能なオプションを詳しく説明します。自由度の高い選択肢は、自立した投資家にとって魅力的です。
- オンラインで簡単に自分だけのポートフォリオを作成できるツールを提供します。これにより、彼らの創造性と独立性を支援し、積極的な参加を促します。
- 最新の市場動向や深い洞察を含む専門的なニュースレターを提供します。これにより、彼らが市場の変化を理解し、先を見据えた投資判断を行うのに役立ちます。
独立的批判家には「投資商品に関する全ての情報を透明にし、隠されたコストやリスクも明確に」提供する


独立的批判家
警戒心高い
×
自立度高い
- 投資商品の詳細データ、研究結果、歴史的パフォーマンスを提供し、商品の信頼性と価値を具体的に示します。
- 投資商品に関する全ての情報を透明にし、隠されたコストやリスクも明確にすることで、彼らの信頼を得ます。
- 独立した研究機関によるこれらの投資商品の分析結果を紹介し、その研究の詳細を共有します。
- 長期間にわたる歴史的データと、成功した投資ケーススタディを通じて、これらの商品がどのように市場の変動に対応してきたかを示します。
- 投資に際して発生する全てのコストと手数料を明確にし、それが投資成績にどのように影響を与えるかを具体的に説明します。投資リスクの詳細な分析を提供し、潜在的な問題点やリスク要因を公開します。
- 投資商品の運用戦略と選定基準を詳しく説明し、なぜその戦略が採用されているのか、どのような利点があるのかを開示します。
- 最新の市場動向や将来の予測に関する詳細なインサイトを含むレポートを提供します。この情報は彼らがより教育された判断を下すのに役立ちます。
新NISAプロ商品解説のYoutubeコメントを分析したら投資家への投資商品の販売アプローチ案が作成できた
この動画を視聴したユーザーを分析したら投資商品の販売アプローチが見えてきました。
今回は販売側として戦略を考えましたが、商品のリスク説明や過去のパフォーマンスなど情報の透明性は平等に確保すべきですよね。
また、分析を進めていくとともに、基本的には「商品情報の見せ方」「専門家からの推薦」「投資教育」の3つのアプローチを、それぞれのカテゴリに合わせて深度を変えている印象となりました。
この分析をある意味でのアンチテーゼとして、投資商品を選ぶ際は慎重になりたいです。



今回の分析はここまでとなります。
最後まで、見てくださりありがとうございました。