

こんにちは!
今回は、売れている「小型冷蔵庫」を購入したユーザーの約2,500件の口コミをAIに読み込ませて、ジョブ理論をもとに分析しました。
分析を通して、ユーザーが「小型冷蔵庫」に求めている機能や期待を解明し、「小型冷蔵庫」の購入理由を見出していきます。
また、その理由や要素を掛け合わせて、新商品開発のアイデアも作成していきたいと思います。
分析データの説明
データの参考情報や特性
- 分析には、売れ筋の「小型冷蔵庫」を実際に購入したユーザーの約5,000件の口コミレビューのデータを参考にし、使用しました。
- 口コミデータは、商品を実際に使用した顧客の生の声が反映されているという特徴があり、満足度の高い点や不満点、商品選びの決め手になった点など、リアルな評価が得られるのがメリットです。
- 一方で、「配送が遅かった」「梱包が雑だった」など、商品とは直接関係のない内容も含まれてしまうことがあります。
分析方法と考察やジョブ理論について



AIに口コミデータを読み込ませながら、ジョブ理論の観点で分析を進めていきました。また、分析結果をもとに新商品アイデアなどの考察も実施しました。ざっくりですが手順は以下となります。
また、今回の分析で使用するジョブ理論についても簡単に説明いたします。
分析と考察の手順
- 口コミデータをAIに読み込ませる。
- 口コミデータから商品に関する「ジョブ」を作成し、リスト化する。
- 似たような「ジョブ」をグルーピングし、それぞれのカテゴリーに名前をつける。
- 「各ジョブ」について、口コミ数と重要度を評価し、マーケティング施策で優先すべき順位をつける。
- 複数のジョブを組み合わせ、新商品のアイデア考察・検討する。
ジョブ理論とは
ジョブ理論は、イノベーションに関する理論の一つで、クレイトン・クリステンセン教授が提唱しました。
この理論は、顧客は商品そのものを買っているのではなく、商品を通じて達成したい「ジョブ」(仕事)を「雇っている」とする理論です。
例えば、ドリルを購入する顧客は、ドリルそのものが欲しいのではなく、「壁に穴を開ける」というジョブを成し遂げるためにドリルを雇っているという考え方となります。
従来のマーケティングが「商品の機能や性能」に注目するのに対し、ジョブ理論は「顧客が達成したい仕事」に焦点を当てるのが特徴です。顧客のジョブを理解することで、真に求められている価値を提供することができます。
また、ジョブ理論には「機能的ジョブ」「感情的ジョブ」「社会的ジョブ」の3つが存在します。
「機能的ジョブ」とは、製品やサービスの機能によって解決したい課題のことを指します。「感情的ジョブ」は、購買や使用体験を通じて得たい感情であり、「社会的ジョブ」は、他者からどう見られたいか、あるいは見られたくないかに関連する目的を表しています。
ジョブ理論について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。


今回はこのジョブ理論も使って、分析を進めていきたいと思います。
口コミユーザー全体の特性



口コミデータからジョブを見出していく前に、まずは、データから見えるユーザー全体の特性を見ていきましょう。
- 限定されたスペースを有効活用したい
-
一人暮らしやシェアハウス・自身の部屋などで使用する際に、スペースを取らないコンパクトさを評価しており、限定された空間を有効に使いたいという特性が見られます。
- 設置場所の快適性を重視
-
寝室やベッドサイドに冷蔵庫を置き、深夜など手軽に飲み物を楽しめる快適性を評価 しており、設置場所まで最短距離で飲み物を入手できる性能を求めている特性があります。
- 飲み物や少量の食品などの保管
-
「飲み物専用に購入した」「ペットボトルやジュースがたくさん入る」など、飲み物や少量の食品の保管を主な目的としている口コミが多数見られました。メインの冷蔵庫とは別に、手軽に飲み物等を取り出せる利便性を求めているユーザーも多いようです。
「小型冷蔵庫」の10の購入理由と優先順位



今回の分析では、約2,500件の口コミデータから、150個のジョブが抽出され、それらを整理した結果、10のジョブのグループに分類することができました。
これら10のジョブグループが小型冷蔵庫の購入理由や要素となり得ると考えられます。
また、これら10のジョブグループに対して、口コミ数や内容・マーケティングの観点から見た優先順位を付け、優先すべき購入理由・要素を1位から順番に並べました。
10のジョブグループに内包される150個のジョブの内、各ジョブのグループにおける「代表的なジョブ」もまとめましたので、クリックして見てみてください。


1. 生活空間で手軽に飲食できる環境を整えたい
ジョブ数、重要度、口コミ数全てにおいて最多であり、小型冷蔵庫の購入に際して、家の様々な場所で手軽に飲食できる環境を整えることは、利便性の向上と生活の質の改善につながることから、多くの人が強く必要としているニーズであるため、マーケティングの主要ターゲットとして優先度が高いと考えられます。
代表的なジョブ
- 寝室で冷たい飲み物をすぐに飲みたい
- 夜中に冷蔵庫まで行かずに済むようにしたい
- リビングですぐに来客用の飲み物を出したい
- 子供部屋で子供がいつでもジュースを飲めるようにしたい
- 家族が増えたので追加の冷蔵庫スペースが必要 など
2. 限られたスペースを有効活用したい
ジョブ数、重要度、口コミ数が2番目に多く、住居形態の多様化に伴い、ニーズが高まっていると考えられます。特に都市部の狭小住宅や単身世帯の増加により、限られたスペースを有効活用することは重要な課題となっていて、空間活用という切り口でのマーケティングアプローチが有効です。
代表的なジョブ
- 一人暮らしでコンパクトな冷蔵庫が欲しい
- 狭いワンルームで生活している
- 寮の部屋に置ける小型冷蔵庫を探している
- 冷蔵庫を狭いスペースに設置したい
- 賃貸物件で置ける冷蔵庫を探している など
3. 自分専用の冷蔵スペースを確保したい
自分専用のニーズは普遍的であり、シェアハウスなどの新しい住まい方の広がりとともに、個人所有の冷蔵庫需要が増えていると考えられます。ただし、優先度1位と2位ほど緊急性は高くないです。
代表的なジョブ
- 自分の部屋で好きな時に冷たい飲み物を飲みたい
- 美容ドリンクやサプリを自分の部屋で管理したい
- 寮生活で自室用の冷蔵庫が欲しい
- 自分だけの冷蔵庫が欲しい
- 家族に冷たい飲み物をいつでも提供したい など
4. 趣味や特定の用途に特化した冷蔵庫が欲しい
ニッチな需要ではあるが、ターゲットを絞ったマーケティングで高い効果が期待できます。趣味や特定用途に特化することで、商品の差別化とブランディングが可能となる。ただし、市場規模は限定的です。
代表的なジョブ
- 日本酒の一升瓶を冷やしたい
- 化粧品を冷やして保管したい
- 授乳中で母乳を保存できる小型の冷蔵庫が必要
- ペットのエサや薬を保管したい
- 趣味の部屋ですぐに冷たい飲み物を取り出したい など
5. 音が静かで就寝の妨げにならない冷蔵庫が欲しい
寝室での使用を想定するユーザーにとって、静音性は重要な訴求ポイントになります。快適な睡眠環境への関心の高まりを背景に、需要は増加傾向にあるものの、ニッチな需要であるため、優先度はやや限定的です。
代表的なジョブ
- 寝室で冷蔵庫の音が気にならないようにしたい
- 音が静かな冷蔵庫で睡眠の妨げにならないようにしたい
- 冷蔵庫を置いても静かな小型冷蔵庫が欲しい
- 寝室で冷たい飲み物を飲む際、キッチンまで行く手間を省きたい
- 夜中に冷蔵庫の音で目が覚めないようにしたい など
6. オフィスや仕事場で使える冷蔵庫が欲しい
オフィスでの需要は安定的に見込めるため、企業をターゲットとしたB2Bマーケティングの可能性があります。ただし、オフィスでの需要は業種や企業規模に大きく依存するため、汎用性は低いです。
代表的なジョブ
- オフィスの自席に置いて、いつでも冷たい飲み物が飲めるようにしたい
- 会社の自分のデスク用に飲み物冷蔵庫が欲しい
- 事務所のスタッフ用に飲み物冷蔵庫が欲しい
- 店舗のカウンター下に飲み物冷蔵庫が欲しい
- 職場の更衣室用に飲み物冷蔵庫が欲しい など
7. インテリアとしておしゃれな冷蔵庫が欲しい
冷蔵庫をインテリアの一部として捉える層をターゲットに、デザイン性を訴求することで差別化が図れます。自分らしさを表現する空間づくりへの関心の高まりを背景に、需要は増加傾向にあるものの、機能性よりもデザイン性を重視する層は限定的です。
代表的なジョブ
- 木目調でおしゃれな冷蔵庫が欲しい
- レッドカラーで個性的な冷蔵庫が欲しい
- インテリアに合わせやすい、おしゃれな見た目の小型冷蔵庫が欲しい
- 自分の部屋用の冷蔵庫を好みのデザインで揃えたい
- リビングに置くので見た目の良さを重視したい など
8. アウトドアや車中泊で使える冷蔵庫が欲しい
アウトドア需要は高まっているが、シーズナリティが高いため、常時需要は見込みにくいです。また、競合商品が多数存在するため、差別化が難しい部分もあります。
代表的なジョブ
- キャンプ用の飲み物冷蔵庫が欲しい
- 小型冷蔵庫を車に積んでアウトドアを快適に過ごしたい
- 車中泊の際に使いたい
- 車中泊の時にドリンクを冷やしておける冷蔵庫が欲しい
- アウトドアでビールを冷やせる冷蔵庫があると便利 など
9. 特殊なシーンでの利用を想定している
特定の環境下でのニーズであり、ターゲットを絞った販売戦略が必要です。市場規模が限定的であるため、優先度は低くなります。
代表的なジョブ
- 老人ホームの部屋で飲み物や薬を冷蔵したい
- 介護施設や病院の病室など普段と異なる環境下で使う
- 旅行先のホテルの部屋で冷たい飲み物を飲みたい
- 出張が多いので、ホテルの部屋で使える小型冷蔵庫が欲しい
- 介護施設で両親の部屋用の冷蔵庫が欲しい など
10. 省エネや経済性を重視している
省エネや経済性は付加価値要素として訴求できますが、購入の主要因にはなりにくいため、優先度は低いです。ただし、環境意識の高まりを背景に、訴求ポイントとしての重要性は増している部分はあります。
代表的なジョブ
- 冷蔵庫の電気代を節約するために、飲み物専用の小型冷蔵庫を使いたい
- 大型冷蔵庫に比べて電気代を節約できる小型タイプを選びたい
- 安価で買い替えのハードルが低いことを魅力に感じている
- 寝室用の冷蔵庫に、できるだけ多くのペットボトルを収納したい
- 小型冷蔵庫は安いので、気軽に買い替えができる など
“ジョブ”を掛け合わせて「小型冷蔵庫」の新商品アイデアを作成



最後に、口コミデータから抽出された150個のジョブ・10のジョブのグループを使って、複数のジョブを掛け合わせることで、新しい小型冷蔵庫のアイデアを考えてみました。
※尚、筆者は「小型冷蔵庫」に関するプロフェショナルではないため、実現可能性や既に実現されている等は厳密に考慮できておりませんので、ご容赦ください。
寝室専用の小型冷蔵庫
- 寝室でいつでも冷たい飲み物を飲みたい
- 夜中に冷蔵庫まで行かずに済むようにしたい
- 寝室で冷蔵庫の音が気にならないようにしたい
- 限られたスペースを有効活用したい
- 寝室でいつでも冷たい飲み物が飲める
-
ベッドから手を伸ばせば、すぐに冷たい飲み物を取り出せる便利さを実現。
- 静音設計で就寝の妨げにならない
-
特殊な防振・防音設計により、コンプレッサーの動作音を最小限に抑え、睡眠の質を守る
- スリムでコンパクトなデザインで限られたスペースにも設置可能
-
奥行きを抑えたスリムボディで、ベッドとの隙間や狭い空間にもぴったりフィット。
- 明るさが調整できるLEDライト付きで暗い室内でも使いやすい
-
暗い寝室でも飲み物が選びやすいよう、庫内のLEDライトの明るさを調整可能。
- インテリアを邪魔しないシンプルでスタイリッシュなデザイン
-
シンプルながら上質感のあるマットな質感のボディで、どんな寝室のインテリアにも馴染む。
オフィス・デスク専用の小型冷蔵庫
- オフィスの自席に置ける小型の冷蔵庫が欲しい
- 職場の共用冷蔵庫とは別に自分の物を保管したい
- 在宅勤務でも使える小型冷蔵庫が欲しい
- デスクの下に収まるサイズの冷蔵庫が欲しい
- 個人のドリンクや軽食を保管できるミニ冷蔵庫
-
350ml缶を12本、500mlペットボトルを6本収納可能な容量で、個人の飲食ニーズに対応。
- デスク下に収まるコンパクトサイズ
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高さを抑えた設計で、オフィスデスクの下に収納できる。
- セキュリティロック機能で他人に勝手に開けられない
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ロックを搭載し、オフィスでの私物管理のセキュリティを強化。
ガレージ・作業場専用の小型冷蔵庫
- ガレージや作業場で使える冷蔵庫が欲しい
- 大容量サイズで飲み物や作業用品を十分に収納したい
- 過酷な環境でも使用できる頑丈な冷蔵庫が欲しい
- 作業場所に合わせて簡単に移動できる冷蔵庫が欲しい
- ガレージや作業場で使用できる頑丈な設計
-
防塵・防滴仕様で過酷な環境下でも使用可能。頑丈なスチール製ボディが衝撃から守る。
- キャスター付きで移動や配置換えが簡単
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大型キャスターを採用し、飲み物や食材を大量に収納しても簡単に移動できる。
- 無骨でインダストリアルなデザイン
-
打ちっぱなしのコンクリート風の質感とスチール製の取っ手が、タフな雰囲気を醸し出す。



以上、今回は売れ筋の「小型冷蔵庫」の口コミ分析から、購入理由や要素・新商品アイデアのヒントなどを考えてみました。
最後まで、見てくださりありがとうございました。