

今回はPIVOTさんのYoutube「Z世代がたった数年で会社を見切る理由」のコメント(※2024年4月現在)を、”STP分析風”のフレームワークを使って分析しました。
分析を進めていくとZ世代のキャリア論を飛び越えて、各コメントユーザーが持つ、様々な種類の「会社への不満」が見えてきました。
今回は分析を進めていくにつれて出てきた「会社への不満」をもとに、それらの不満を解消するためにはどうすればよいかを考えていきます。
最後まで見ていただけたら幸いです。
今回の分析テーマは「会社への不満」について
今回の分析は動画へコメントをしているユーザーの特性を分析した過程で出てきた「会社への不満」に対して、それらを解消するためにはどのようにアプローチすればよいのかのアイデアを作成することを目的とします。
分析の方法



AIにコメントデータを読み込ませながら、STP分析風の要素を使って、分析をしていきます。ざっくりですが分析方法は以下です。
- コメントしているユーザーの全体的な特性を分析
- コメントしているユーザーの特性などから独自のX軸とY軸を設定
- X軸とY軸をもとにユーザーを4分割のカテゴリで分類
- 各カテゴリの特徴を分析
- 各カテゴリに対して、どのようなアプローチを実施すれば、目的を達成できるかを作成
実際のSTP分析とはかけ離れている部分がありますが、要素を拝借し、ターゲットごとにどのようなアプローチを実施していけば良いのか分析していきます。
分析する動画の概要
今回、分析させていただく動画の内容を簡単に要約します。
まだ視聴していない方は是非、もとの動画も視聴してみてください。
- 📈キャリアの早期構築願望: 若手の間でキャリアの早期構築への願望が高まっている。多くは3年以内に企業を離れることを考えている。
- ⏳時間軸の違い: 30代40代の大企業マネージャーと20代若手のキャリアに関する時間軸が異なる。若手は短期的なキャリア構築を望む。
- 📚マネジメントの抽象論: 現代のマネジメントには愛やセンスといった抽象論が多い。これにより組織と人材のポテンシャルが損なわれている。
- 🧠産業組織心理学: 産業組織心理学の知見を体系化し、共通言語化することで、効果的な人材育成とマネジメントが可能になる。
- 🌐組織のサイエンス: 組織のサイエンスが日本で広がらない理由は、用語の難解さや実践との結合の欠如にある。
- 🧩心理的安全性: 心理的安全性の概念が誤解されており、これが現代の職場での人間関係やマネジメントに影響を及ぼしている。
コメントユーザーは「会社の対人関係や組織文化に多様な不満を持っている」





コメントしているユーザー全体としてどのような特徴があるかをAIを使って分析した結果、コメントユーザーの多くは「会社の対人関係や組織文化に多様な不満を持っている」ことがわかりました。
詳細を見ていきましょう。
多様な不満の表現
- コミュニケーション不足:上司や同僚とのコミュニケーションに問題があり、それがストレスや不満の原因になっている。
- システムやプロセスへの不満:日常業務の効率性の低さや、組織的なシステム・プロセスの不合理性に対する批判が多い。
- 個人の成長と評価への懸念:昇進や評価の公平性に疑問を持ち、自身のキャリア成長に対する不安や不満を抱えている。
変化への願望
- 改善への期待:コメントからは、現状に対する不満だけでなく、状況の改善や解決策を求める強い願望が感じられる。
- 柔軟な働き方への希望:リモートワークなど、新しい働き方への関心が高く、より柔軟な労働環境への移行を望んでいる。
自己実現とキャリアに対する意識
- 個々のキャリアパスへの関心:自身のキャリアパスに対する強い意識があり、個人の成長と自己実現を重視している。
- 多様な働き方への開放性:伝統的なキャリアパスや働き方に固執せず、自分に合った多様なキャリアの選択肢を模索している。
- 動画が扱うテーマの影響もあるかもしれないが、コメントユーザーは全体として、対人関係と組織文化に、「多様な不満の表現」をするユーザーが多い。
- しかし、「自己実現とキャリアに対する意識」など「変化への願望」があり、不満のある現状を模索して変化したいという願望があるように見受けられる。
続いて、これらのユーザーをさらに分類してみます。
カテゴリ分類のためのX軸は「不満の対象」Y軸は「不満の内容」
STP分析のように、まずはX軸とY軸を決めて、それをもとにセグメンテーションしてみます。
セグメンテーション作成時の手順は下記になります。
- コメントの内容やトーンからユーザーの特性を読み取る
- それをX軸とY軸に落とし込んでみる
今回の分析では、会社への「不満」に関するコメントが多いことから、コメントから抽出できる2つの重要な属性として
X軸を「不満の対象」
Y軸を「不満の内容」
と定めて分析を進めていくことにしました。



これらのX軸とY軸を図にするとこのような感じになります。


X軸:不満対象
直接的な人間関係やチーム内での対人問題に関連する不満です。例えば、上司とのコミュニケーションがうまくいかない、チームメンバー間での協力が取れていない、あるいは特定の同僚との人間関係がストレスの源泉になっているといったケースです。
大きな組織の枠組み、制度、文化、または方針に由来する不満が対象です。従業員が感じる組織の方針の不明瞭さ、評価システムの不公平性、組織文化の問題、または変化への対応の遅さなどが含まれます。
Y軸:不満内容
コミュニケーションの不足、誤解、対立、あるいは人間関係の悪化など、対人関係に根差した問題がここに該当します。
業務の効率性、システムの使い勝手、プロセスの合理性、またはそれらが従業員の業務遂行にどう影響しているかといった点に関する不満が含まれます。
カテゴリ分類は「周辺 or 組織」×「人間関係 or システム」の不満の組み合わせ
では次に、これらX軸とY軸に基づいて、4つのカテゴリにセグメンテーションしてみます。
セグメンテーション後に各カテゴリの特徴と、どのくらいの割合で存在するかをざっくりと出してもらった結果がこちらです。





それでは、ひとつひとつのカテゴリを見ていきましょう。
1、周辺コミュニケーション不満層





いくら意見を言っても、上司は聞く耳持たず。自分の考えは完全に無視されていると感じる。
- 直接の上司や同僚とのコミュニケーションが不十分で対人関係における摩擦や対立が頻繁に発生
- 意見や感情が適切に伝えられず、誤解が生じやすい
- 直接的な関係性において信頼感や安心感が欠ける
2、組織コミュニケーション不満層





会社全体の方針がいつの間にか変わってて、情報共有が全くない。何を基準に動いていいかわからない。
- 組織全体の情報・ビジョン・目標の共有が不十分で、方針や変更点が不透明なため、一体感が乏しい
- 組織文化が閉鎖的で、オープンな意見交換が奨励されない
- 意思決定プロセスが不明確で、従業員が関与する機会が限られている
3、周辺システム不満層





毎日の業務が非効率すぎる。このタスク、もっとスマートにできるはずなのに、なぜ改善されないんだろう?
- 業務プロセスが非効率的で、時間と労力の浪費が多い
- 業務の自動化や効率化に対する投資が不足していて使用するツールやソフトウェアが不十分または時代遅れ
- 個々の業務負担が適切に配分されず、過重労働に陥りやすい
4、組織システム不満層





評価システムが全く公平じゃない。どうやったら昇進できるのか、ルールが不透明過ぎる。
- 組織全体の評価システムが不公平で、成果が適切に評価されない
- 組織の方針や目標が頻繁に変更され、方向性が不安定
- 組織内の部署間での連携が不十分で、部署孤立が進んでいる



「不満対象」が、どこに対してなのかと「不満内容」が何であるかで軸分けをしました。
不満に関するコメントが多かったため、この軸での分け方となりましたが、もちろん、不満ではないコメントも存在するので、別の軸分けで分析してみてもおもしろいかもしれませんね。
では次にカテゴリごとのアプローチを考えていきましょう。
最優先で解消すべき不満は「組織システム不満層」の問題
セグメンテーションが完了したところで、次に各カテゴリごとにどのようなアプローチをすれば不満が解消できるようになるかを考えていきます。
その前にどのカテゴリが持つ「不満」を優先的に解消していけばよいかを分析していきます。
AIを使った分析を行ったところ優先順位は以下となりました。
組織全体×システム への不満
組織全体のシステムやプロセスに関する不満は、従業員のモチベーション、生産性、そして組織全体のパフォーマンスに直接影響し、長期的には人材流出のリスクを高めます。
組織全体×人間関係 への不満
組織としての情報共有不足と方針の不明瞭さは従業員のモチベーションを低下させ、組織効率に悪影響を与えます。
個人・チーム×人間関係 への不満
個々の従業員間のコミュニケーション不満は、チーム内の協力関係や個人の職場での満足度に影響を与えます。これを解決することで、従業員間の信頼を構築し、より良い協力関係と職場の雰囲気を促進します。
個人・チーム×システム への不満
この不満を解消することで、個人の生産性を向上させ、職場でのストレスを減らすことができます。このカテゴリーは他のカテゴリーに比べて影響範囲が限定的であるため、最後に優先されます。



「会社への不満」の解消に向けて、一番にアプローチすべきカテゴリは「組織システム不満層」が持つ問題となります。
組織全体のシステムやプロセスは組織の土台となる部分でもあるため、まずはここの部分の不満を解消することが優先順位に反映されていると考えられます。
各カテゴリの「会社への不満」を解消するためのアイデア
最後に各カテゴリに対して、どのようなアプローチをしていけば、「不満」を解消できるのかを優先順位ごとに考えていきます。
各カテゴリに対して、「不満」を解消するアプローチの基本戦略を考えたあとに、その戦略に沿ったアプローチ案を3つずつ作成していきます。
組織システム不満層には「組織システムの公平性・効率性・透明性」を提供する


組織システム不満層
組織全体
×
システム への不満
システムの透明性の向上、プロセスの効率化、従業員参加の促進に重点を置きます。この戦略は、組織の運営プロセスをより公平で効率的なものにすることを目的とし、従業員のエンゲージメントと満足度の向上を図ります。
- 明確な評価基準を設定し、明確な評価基準と定期的なフィードバックを通じて、従業員の公平感とモチベーション向上を目指します。
- 組織運営に関わる業務プロセスの自動化と効率化のためのツールを導入し、組織運営に関わる業務の効率性を高め、従業員がより価値の高い作業に集中できるようにします。
- 組織のシステムとプロセスを定期的に評価し、時代に合わせて最適化するための機構を設けることで、変化する業務環境や従業員のニーズに迅速に対応することを目指します。
組織コミュニケーション不満層には「組織内の情報共有の促進をシステム・文化面の両方から」提供する


組織コミュニケーション不満層
組織全体
×
人間関係 への不満
透明性と双方向性のコミュニケーションの促進による透明性の向上、組織内の情報共有システムの最適化、および従業員の声に耳を傾ける文化の構築に焦点を当てます。
- 透明性が高い組織文化の構築し、意思決定の透明性、成功と失敗の公開共有、オープンなフィードバック文化の促進を通じて、従業員のエンゲージメントと組織への忠誠心を深めることを目指します。
- 組織文化の改革やシステムの更新に際して、変化の目的や期待される影響などについて、透明かつ継続的にコミュニケーションを取ることで、組織内での変化への抵抗を減らし、従業員が新しいシステムやプロセスを積極的に受け入れられるようにします。
- 社内の情報共有を促進するために、チャットツールなど(例:Slack、Microsoft Teams)の導入を推進しすることで、情報共有の不十分さを解消し、組織全体での方針や変更点が透明に共有されるようにすることで、組織全体の一体感を強化します。
周辺コミュニケーション不満層には「対人関係の強化と相互理解の文化」を提供する


周辺コミュニケーション不満層
個人・チーム
×
人間関係 への不満
従業員間のコミュニケーション能力の向上、対人関係の強化、相互理解と尊重、効果的なフィードバックの重要性そして職場でのオープンなコミュニケーション文化の促進に焦点を当てます。
- 全従業員を対象に、話の聴き方、クリアなメッセージの伝達など、コミュニケーションスキルを向上させる研修を定期的に開催します。個々の従業員が効果的にコミュニケーションを取る方法を学び、職場での誤解を減らし、より良い人間関係を築くことができるようにします。
- 小グループ内で定期的にピアフィードバック会を実施し、従業員が互いの視点を理解し、対人関係を強化することで、職場のコミュニケーションの質を向上できる機会を提供します。
- 経験豊富な上級従業員がメンターやコーチとして、個々の従業員に対人コミュニケーションの改善に向けた個別のサポートを提供します。従業員が自信を持ってコミュニケーションを取り、職場での人間関係を改善することを支援します。
周辺システム不満層には「個々のニーズに応じたカスタマイズ可能なツールやスキル」を提供する


周辺システム不満層
個人・チーム
×
システム への不満
業務プロセスの効率化、従業員の業務遂行能力の向上、及び個々のニーズに応じたカスタマイズ可能なツールの提供に重点を置きます。
- 各部門の業務プロセスを定期的に見直し、非効率な手順を特定して削除または再設計します。
- 従業員が業務を効率的に遂行できるよう、最新のテクノロジー、ソフトウェア、およびデジタルツールを提供します。
- 従業員のスキルセットと業務ニーズに基づいたカスタマイズされたトレーニングプログラムを開発します。
Z世代キャリア論のYoutubeコメントを分析したら会社への不満の種類と解消のためのアプローチ案が作成できた
この動画を視聴したユーザーを分析していたら様々な「会社への不満」が見えてきました。
これらを解消していくためには、まずは「組織システム不満層」が持っている不満のような組織全体のシステム・プロセスから解決してくことが重要だと考えられそうです。



今回の分析はここまでとなります。
最後まで、見てくださりありがとうございました。